先日、福岡県古賀市の海で親子ら4人が死亡した水難事故は、「離岸流」に巻き込まれたのが原因とみられています。
沖に流された2人の子供を助けようとした、泳ぎが苦手ではないと思われる父親と大人が溺れてしまう「離岸流」とは。
万が一「離岸流」に流された時の対処法、「離岸流」の見つけ方などを説明します。
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沿岸流と離岸流
一般的には海には、一定方向に海水が流れる沿岸流というものが存在します。その沿岸流は満潮、干潮で流れる向きが変わります。
その中で海岸に近い海域では、波が押し寄せたり見た目には押し寄せるように見えますが、実際海水は循環しており、沖合から海岸に向かう「向岸流」、海岸に沿って流れる「並岸流」、海岸から離れ沖合に向かう「離岸流」が、一つの循環系を形成しているのである。
離岸流とは?
海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとするときに発生する強い流れのことです。
波は沖から海岸へ打ち寄せますが、海水はどんどん岸に貯まるので、どこかから沖にもどろうとします。
この時、岸から沖の方へ向かって一方的に流れる速い流れのことを離岸流(リップカレント)と呼びます。 サーフィンなどマリンスポーツをしている方はよく聞く言葉だと思います。
速さは、最大で2m/sec(1秒に約2m進む)となることもあります。人の早歩きくらいの速さですが水中だと早く感じられ、水泳選手でも逆らうのはかなり困難です。
長さは、通常、数10m~数100m程度で岸から離れると流速は弱まります。
幅は、10~30m程度とあまり広くありません。
画像で示すとこうなります
海上保安本部より引用
離岸流が起こりやすい地形・見つけ方
離岸流の発生は、その海岸の地形によるところが大きいです。
- 海岸が外洋に面しているところ
- 遠浅で、海岸線が長いところ
- 近くに人工構造物があるところ
離岸流は、一旦発生したあと、1ケ月近く同じ場所で発生し続けることもある一方、発生から2時間後には位置を変えることもあります。
砂浜の整地や入れ替えで流れや発生状況が変わるように、気まぐれなところもあります。
見つけ方としては、離岸流があるところでは、波峰線が途切れた海面に、通常の打ち寄せる波とは異なる白くざわついた水面(攪乱)が見られるため、陸からも確認しやすいです。
海上保安本部より引用
離岸流に巻き込まれた対処法
浮き輪などがある場合は、しっかりつかまり流れに逆らわずいれば、流されるがおさまります。泳げる方は、海岸と平行に泳ぐと流れが無くなります。
浮き輪などがない場合、泳げる方は浮き輪のある場合と同じく海岸と平行に泳げばいいですが、泳げない方は海面に仰向けに伸ばし力を抜いてください。海面に垂直になると沈みますので注意。
海上保安本部より引用
離岸流による事故
福岡県古賀市の事故で聞くようになった、離岸流による事故ですが、毎年各地で事故が発生しています。
有名な橋北中学校水難事件も離岸流が原因といわれています。
昭和30年(1955年)7月28日に、三重県津市の中河原海岸において、市立橋北中学校の女子生徒が水泳の訓練中に見舞われた事故がある(橋北中学校水難事件)。海が静穏だったにも関わらず、突然大きな波が襲い、生徒たちが次々と海底に引きずられ36名が死亡した。中河原海岸は遠浅であるが、付近の安濃川から流れ込むことによってできた窪みがある海底地形とその川の流れにより発生した離岸流が原因であるとの説明されている。
古賀市の砂浜も大根川河口近くの玄界灘の海岸。一帯は離岸流が発生しやすい場所とされていました。昨年8月にはベトナム人留学生が沖合に流されて死亡する事故があり、古賀市が注意を呼び掛ける看板を設置していました。
まとめ
全国の砂浜に発生していますが、多くの砂浜は気づかない規模なので、特に神経質になる必要はありません。
しかし、過去に事故があったなど条件がそろっていそうなところは、遊泳禁止など事前に各自治体や漁協などのHPで確認が必要です。
特に砂浜近くに河口があるところは、事前に注意が必要です。
とくに遊泳禁止区域では絶対に泳がないようにしましょう。
禁止になる理由が必ずあります。