東武鉄道が、「鉄道産業文化遺産の保存と活用」と日本有数の観光エリアの日光・鬼怒川エリアを中心とした新たな「地域の観光活力創出」を目指して、地域や各関係鉄道会社などの協力を得て「SL復活運転プロジェクト」の実現に向けて動き出していましたが、8月10日ついにその日を迎えました。実に51年ぶりの復活です。
大手私鉄会社としては珍しいこのビッグプロジェクト、SL大樹号の運行予定日、客車編成、時刻表、座席指定料金、予約方法とともに経緯、地元地域、協力鉄道会社についてもご案内します。
大樹ヘッドマークをつけたC11形207
コンテンツ
SL大樹
復活の背景
沿線地域の人口減少や社会情勢の変化により、鉄道の役割にも変化が求められるなか、東武鉄道も同様な問題をかかえており、地方創生に向けた動きが進むなか、地域の足となる鉄道会社としての地域活性化策を検討していました。その中で下今市駅構内で転車台の遺構が確認されたのをきっかけとして、「鉄道産業文化遺産の保存と活用」という観点から検討をし、かつて同線を走っていたSLを復活させることにより、日光・鬼怒川エリアから、福島県方面にも観光活力をもたらし、活性化に貢献していきたいとの思いがはじまりでした。
地域、鉄道会社の協力
近年、鉄道遺産を一部の愛好家のみならず、一般市民の手によって大切にしていこうという動きが活発化しています。大手私鉄の中でも最も長く運行していた実績もあり、SLの復活運行を目指すことになりました。
しかし、SLも所有していないなか単独はできません。そこでJR北海道からSL「C11形207号」を借り受け、車掌車ヨ8000系をJR貨物とJR西日本から各1両、客車は14系普通車4両と12系グリーン車2両をJR四国から、ディーゼル車DE10系をJR東日本からそれぞれ譲渡をうけました。
編成は「SL+車掌車+客車+ディーゼル機関車」の編成となります
甲種輸送中の14系客車
車両だけでなく施設も、下今市駅にJR西日本長門市駅から、鬼怒川温泉駅にJR西日本三次駅からそれぞれ転車台の譲渡を受けて整備し、下今市駅の駅舎を改修してSL見学エリアを整備します。
鬼怒川温泉駅転車台での大樹
当時の容姿に改修された下今市駅舎
さらに、JR北海道、真岡鐵道、秩父鉄道、大井川鉄道といった既にSLを運行している鉄道会社での、乗務員研修にも協力もありました。
各鉄道会社の協力なくして今回の復活はありませんでした。
運行開始日
2017年8月10日(木)
初日券は3分で完売したようです
運行カレンダー
2017年度は土休日を中心に98日間運転予定
2018年も土日祝を中心に運行していますが、
3月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)、4月14日(土)、15日(日)はSLの修繕・検査が予定されているため、DLが客車を牽引するDL大樹として運転を行います。
2019年も土日を中心に運転されます
詳しくはこちら
http://www.tobu.co.jp/sl/information/guide/
運転ダイヤ(時刻表)
鬼怒川温泉行き(下り)
列車名 | 下今市 発時刻 |
東武ワールド スクウェア 発時刻 |
鬼怒川温泉 着時刻 |
---|---|---|---|
SL「大樹」1号 | 9:02 | 9:32 | 9:38 |
SL「大樹」3号 | 13:00 | 13:30 | 13:36 |
SL「大樹」5号 | 16:32 | 17:02 | 17:08 |
下今市行き(上り)
列車名 | 鬼怒川温泉 発時刻 |
東武ワールド スクウェア 発時刻 |
下今市 着時刻 |
---|---|---|---|
SL「大樹」2号 | 11:08 | 11:13 | 11:41 |
SL「大樹」4号 | 14:35 | 14:41 | 15:09 |
SL「大樹」6号 | 18:09 | 18:15 | 18:43 |
1日3往復、朝から夕方までと周辺観光と組み合わせやすいダイヤとなっています。
転車台SL入線時刻
下今市駅転車台 | 8:15 | 12:05 | 15:30 |
---|---|---|---|
鬼怒川温泉駅転車台 | 10:30 | 13:50 | 17:25 |
座席指定料金
東武鬼怒川線 下今市~鬼怒川温泉間 大人 750円 / 小児 380円
※運転区間内一律料金となります。
※別途、乗車区間の運賃が必要です。
発売箇所
非常に探しにくいです。運行カレンダーに反映されるのがいいと思います。
1.インターネット予約
パソコン・スマートフォンからSL座席指定券の予約を行うことができます。
2.電話での予約
お電話でSL座席指定券の予約を行うことができます。
3.東武線各駅
押上・相老・赤城・寄居・越生駅および駅員無配置駅は除く
- ※券売機での発売はいたしません。
- ※特急券チケットレスサービスはご利用できません。
4.旅行代理店
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・主要旅行会社
C11 207
1941年12月26日竣工として日立製作所笠戸工場にて製造されました。
1974年10月1日に廃車、静内町(現・新ひだか町)の山手公園に静態保存されていました。
2000年JR北海道に返還され、同年10月7日より函館本線小樽(後に札幌) – ニセコ(後に蘭越)間の「SLニセコ号」に使用されるようになりました。その後、C11 171の予備機という扱いで「SLニセコ号」のほか、「SL冬の湿原号」、「SL函館大沼号」などにも使用され、時折C11 171との重連運転も実施された。
その後、北海道内での運行終了に伴い、東武鉄道に貸し出されることになりました。
最後に
注目を集めている分、指定席の予約も取りづらいですが、SLに乗った事のない方はいちど乗ることをお薦めします。ワクワクしますよ
有名撮影地ではいろいろな写真がSNSなどにアップされていますが、最低限のルールは守りましょう!
2019年4月14系客車「ドリームカー」をSL大樹の客車として導入します!
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